観劇初心者の記録

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グランギニョルの幕が閉じる① ダリについて

ネタバレしかありません。

 

 

 

 

既存のシリーズ作品よりも 細かく練り込まれた設定で TRUMPの世界を大きく広げた今作。

明かされた事実と、新たな疑問。

 

◆ダリ・デリコについて

 

ゲルハルトが言っていた。デリコ家の名がダリを貴族にしているのではなく、ダリは生まれながらに貴族なのだと。

好きでデリコ家に生まれたわけではないと言い放ちつつも、デリコ家の当主というプライドは彼の大切な部分であることが伺える。

 

グランギニョルでのダリは飄々として、茶目っ気もあり、貴族然とした強い態度や口調の裏には愛情や優しさがある。

 

ダリはマルコに グランギニョルの主役に祀りあげられたが、それはマルコ(=ウル)の家族がダリの父・クロードに粛清されたため。

ダリもまた、デリコの名の呪いを受けている。

全てがマルコの手の中で、グランギニョルは完成していく。

スーの死、ヨハネスとの決闘、マルコの正体、マルコからウルへの呪い、フリーダから刃を向けられたこと、そして、フリーダの死。

 

ラスト、春林と歌麿を見送るダリは平静だった。

フリーダとスーに託された ラファエロとウルの存在があったからかもしれない。

それとも、ダリの根底にある 生まれながらの貴族としての矜持がそうさせるのか。

どちらにしても、その強さがダリのノブレスオブリージュなのだろう。

下々の情けや慰めや憐憫なんて必要としていない。

 

そこから時を経て、TRUMPでのダリ。

重厚感を増し、血盟議会での地位をより高いものにしている。

息子、特にラファエロには厳しく接しているのは

フリーダの「せめてラファエロの前では厳格な父親でいてください」

ラファエロがいつかあなたのような立派な貴族になれるように」

という願いをダリが守っているから。

そして、自分の目の届かないクランの中で ウルを守る、ウルを愛するという役目を託すことができるのは、ラファエロしかいなかったから。

 

もう1つ、悲しい事実。

ダリからウルへのイニシアチブ(グランギニョルラスト)は、マルコからウルへのイニシアチブに勝てなかった。

自分がダンピールだということから、TRUMP信仰にのめり込んでいくウルは 確かにずっと死の影に怯えて生きている。

※末満さんは、ダリのイニシアチブを希望の欠片と仰っていたようなのですが 私の解釈として。

 

TRUMP終盤でのダリの「これが我らの結末か…」の言葉がつらい。

14年後に達成される、マルコの呪い。

 

 

◆染谷さんについて

染谷さんの演技は、刀剣乱舞 虚伝の初演でしか見たことがなかった。

いたずら好きでアドリブ好き。役柄なのか、本人の素なのかわからなかった。

 

染谷さんはツイッターやブログで本音を出すタイプじゃないし、すごく空気を読むし、常識的な大人で仕事に対する真面目さ感じる一方、

日替わりやアドリブの機転、バックステージでのユーモラス、飄々としたところもあり、それらが相まってミステリアスさを醸している。

今回のダリ役は本当にハマり役だと思った。

 

ビジュアルに関して言えば、本当に月並みな言葉しか出ないけど美しかった。

美しさはそれだけで高貴を連想させると実感。

 

殺陣もさすがで、冒頭の異教団殲滅作戦で黒ずくめ6人との闘いのシーン、刀をくるくると回すところはSEともぴったりハマっていた。

 外套のすそをはためかせる動き、表情の一つ一つ、どのシーンを切り取ってもダリだった。

 

染谷さんは、所謂 役が憑依するタイプではないと思う。

一般的に憑依型というのは天才的な演技力に対する最大の褒め言葉のように書かれているが、

今回のダリは、自ら高めていって到達した、染谷さんにしかできないダリなんだと思う。

そしてそれが末満さんが目指したところなのだとも。

 

この作品で、染谷さんの今後を応援したいと思った。

平たく言えば、落ちた。

 

重く苦しい役を演じ続けるのって、どんな精神状態になるのだろう。

キャリアがあるので何ともないものなのでしょうか。

なにはともあれ、お疲れ様でした。

素晴らしいダリをありがとうございました。